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2012-10-12 [長年日記]

Sくんのこと

月曜の夜に、知り合ってからかれこれ15年以上にもなる後輩が亡くなった。享年36歳、あまりにも早すぎる旅立ちに動揺もなにもあったものではない。連絡を受けてからなんだか腹を立てているような気分がベースのよろしくない精神状態のままで、とても仕事にならない。なんだかちょっとしたことで涙ぐんだりやけに笑ったり、感情のタガが外れているのが自覚できる。

さきほど葬儀から戻った。渋谷駅集合で、能登半島までを約24時間で往復するというかなりの強行軍であったが、仲間たちのお陰でなんとか乗りきれた。感謝。

直接お別れをしてきたがいまだ実感が十分持てずにいる。
ただ、できるだけ彼のことを多く思い出すのが一番の供養だと思うので試みる。

ーーー

私の所属していた音楽サークルに彼が入会してきた。
Sing Like Talking 、小沢健二、ザバダック、あたりが私と共通する
音楽的趣味だった。SLTは当時は知ってる人が少なかったからそれは嬉しかったなあ。
サークルに入るなりSLTという単語を聞きつけて飛んでいった私のことを何度も語ってた。オザケンはよくカラオケでブギーバックを歌ったねえ。思えば人生であんなにカラオケに通ったことはない。

独特の愛らしいキャラにピンときて、当時モヤっと構想していた
コミックバンドに誘った。彼と、ゆかいな仲間たちがいれば
ドリフ的ななにかが可能になると思った。戦隊もののネタでただひたすら
カレーを食べてもらったところほかの選択肢は考えられないほど自然な
姿で人々を笑わせた。そのコミックバンドは、結果的に私の大学時代での
最大の成果といえる活動になった。

彼の部屋でよく飲んだ。まあなんというか青春といえなくもないような
若さ故の悩みとかなんとかを語った。哲学の道沿いのちょっと雰囲気のある
よい部屋だった。隙間風が寒かったがそれもまた心地よかった。
かれは私よりいくつか世代は下だけれども、私の精神年齢が幼いことからか、かれの世代の人間とはよく話が合った。

楽器はいろいろと模索していたようだが結局ベースを選び、
バンドをいくつかやっておりバンマス的なこともやっていた。若干泥臭い人間関係に苦労していた様子で、そういうところにアセアセと気を回すところが彼の好ましいところだった。

大学卒業後、腐れ縁というかなんというか、入社したのは同じ会社だった。
彼の入った部署に私の幼馴染がいて
なんだか世界は狭いなあというようなことをともに語った。

なんだか年がら年中ほげほげ言ってると自称する割に実際にほげほげ言ってる
ことはあまり見かけなかった。twitter上の最後の言葉は「ぐにゅう」で、
それがフリーソフトウェアファウンデーションと関係する言葉なのかは
今となっては確認できない。まいったな、ちょっと前に私の名前を含んで
昔を懐かしむTweetもあるね。泣ける。

ネットでの活動はかなり古くからやっていた。rimnet時代の日記および掲示板
は彼の周辺の世代の憩いの場と化していたなあ。その後Slashdot、Twitter、という
かんじでいかにもな生活圏。私はTwitterはやらないのですこしネット上では疎遠になっていた。

入社以来ときどきすれ違うもけっきょく一緒に仕事をする機会がなかったのは残念。

ーーー

彼の訃報を近隣のサークルOBに流してほんの24時間で、25名ほどの葬式への参列表明と
50名近い方々による香典が集まった。上下ずいぶん広い世代の人が彼を慕っていたことがわかる。
ひとりひとりの振込を確認するたびに涙。

ありがとう。また、なんらかのかたちで会えるだろうと思っているので、そのときはまたいっしょに楽しいことをやりましょう。いまは安らかに眠ってください。

本日のツッコミ(全3件) [ツッコミを入れる]
hekkory (2012-10-13 21:06)

おつかれさま。みんなもそうだと思うけど、今回いろいろ立ち回ってお別れする機会を作ってくれた君にはとくに感謝している。ありがとう。彼もいまごろあの頭を抱えるポーズで、あうあうぁーほんとごめんなさいーとか言いつつ、最後にあしたにパパにいろいろ世話してもらい、多くの人に見送られたことをうれしく思ってるはずだと思う。まあ、次に会ったらさんざんいじってかわいがってやればいいんだよ。

kae (2012-10-14 00:03)

s君を偲ぶ会の会場の当たりを既につけました。<br>良さそうな店です(笑)<br><br>なんだかお礼の文章やらなんやらを書いては消し書いては消し<br>しているんだけど、結局何もかけていなくて<br>ごめんなさい。<br>近々、お酒をガブガブのみながら彼について語り明かしましょうね。<br>その時は朝までですよ!

ashiya (2012-10-14 20:50)

>へっこり<br>いや、今回はただの経由点になったに過ぎないですよ。彼を慕う皆がすべてやってくれました。ある意味では彼が自分で段取りをしたようなものかもしれない。君の言うとおり、次に会う機会を楽しみにしよう。<br><br>>kaeたん<br>今回ほんとに君等夫妻にはいろいろ助けてもらいました。大量に連絡回してくれたこと、ありえないテンションで皆の気持ちを代弁してくれたこと、忘れません。<br><br>会場別途連絡ください。